ガイド
ホテル・商業ロビー大理石の仕様の書き方
ホテル・商業ロビーでは、石種名だけでは仕様になりません。ゾーン別の仕上げ・厚み・滑り・ロット・予備材まで図面と仕様書に入れないと、施工と維持が揺らぎます。図面に「ホワイトマーブル」だけがあり、サンプルは手のひら大なのに現場は数百㎡を敷く——そのときトーンが切れたり、入口で滑りトラブルが出たりします。
デザインは第一印象とブランドを、発注・PMは納期とクレームを、施工はロット・目地・床レベルを気にされます。本稿では、ホテル・オフィス・商業ロビーで仕様書に何を書くかを、ゾーン・仕上げ・厚み・在庫・承認の順で整理します。品種トーンは製品、類似空間は施工事例を先に見ると打ち合わせが速くなります。
仕様が「サンプル一枚」で終わらない理由
ロビーでは、床・壁・レセプション・エレベーターホールまで一本の材料が続くことが多いです。天然石はブロック・ロットごとに地とベインが違い、承認範囲を文書に残さないと、後続入荷は「同じ名前なのに別の石」になります。ホワイト品種比較はカララ・カラカッタ・スタチュアリオ ガイドを、大理石と花崗岩の役割は大理石と花崗岩ガイドをご参照ください。
またロビーはキャリア・傘・入口の湿気・毎日の清掃が重なります。ポリッシュ(光沢)は乾燥した屋内の印象では強い一方、湿気が多い入口・外気流入区間では滑りと光沢摩耗を別途見る必要があります。硬質フロアの滑り議論で国際的によく参照される ANSI A326.3 系では Interior Dry・Interior Wet などの使用分類を分け、水平歩行の湿潤 DCOF 0.42 前後を最低目安として挙げることが多いです。最終は現地法規・発注者基準に従いつつ、仕様に仕上げ種類+適用ゾーンを対で書く習慣が紛争を減らします。
1. まずゾーンを分けて仕様を書く
一行仕様よりゾーンマップが先です。
- ゾーン — 優先課題 — 仕様に入れること
- メインホール床 — 面積・トーン連続・光沢/ホン — 品種・ロット範囲・モジュール・目地・仕上げ
- 入口・外気流入 — 湿気・滑り・砂摩耗 — 仕上げ(ホン・ブラッシュ等)・マット・必要時は花崗岩
- エレベーターホール・廊下 — 動線・耐摩耗 — 厚み・仕上げ・継ぎ目パターン
- 壁・フォーカルウォール — 視覚・ブックマッチ — スラブレイアウト・支持・目地
- レセプション天板 — エッジ・カットアウト — 厚み 20/30mm・補強・仕上げ
レセプションとメインホールを同一スラブロットに束ねるか、床は落ち着いたトーン・壁だけドラマチックなベインにするかから決めてください。「ロビー全体ホワイト」だけでは、発注・加工が後で裂けます。アトリウムのように天井が高い空間では、遠くから見える壁のベインが床より先に「ノイズ」に感じられることがあり、フォーカルウォール面積を抑え、残りは穏やかなトーンで統べる構成が多いです。面積とゾーンスケッチをお知らせいただければ、お問い合わせで在庫・入荷可否から合わせます。
2. 仕上げ・滑り・動線 — ポリッシュだけ書かない
仕上げは美観ではなく安全・維持の仕様項目です。ポリッシュは鏡面反射が強く照明カットには有利ですが、濡れると摩擦が落ちる組み合わせが多いです。ホン(honed)・ブラッシュ・レザー系はスクラッチ・エッチが目立ちにくく足裏の接地も比較的良く、入口・カフェ隣接・傘エリアによく使われます。
仕様文はこう分けます。「メインホール床:ポリッシュ、乾燥室内用」/「入口 3m・外気ドア前面:ホンまたはテクスチャ、マット併用」。発注者がロビー全体ポリッシュに固執する場合は、リスク告知とゾーン例外を書面に残す方が安全です。キャリア車輪・砂が多い動線は大理石だけでは持ちにくく、入口バンドに花崗岩・高耐摩耗石材を挟む構成を検討します。
維持管理も仕様に一文入れてください。中性洗剤、入口マット、シーリング周期(品種・使用で異なるが定期点検は共通)。「見た目だけ」承認して清掃基準がなければ、1〜2年後に光沢のバンディングが出ます。夜間清掃が酸性・アルカリ性洗剤を使うホテルでは、禁止薬品と許可製品を FM 文書に渡しておく方が安全です。
照明はポリッシュでベイン・目地を誇張します。サンプルをショールームのスポットだけで承認すると、実際のロビーの調光・間接光で印象が変わることがあるため、現場照度条件でもう一度見ることを推奨します。
3. 厚み・モジュール・目地 — 数値で固定する
商業ロビー床はプロジェクト・工法で異なりますが、18〜20mm台を出発点に見る現場が多いです。壁パネルは荷重・支持方式によってより薄く、レセプション・階段ディテールは20mm・30mm またはラミネートエッジが出ます。「だいたい 2cm」より、寸法・公差・キャリブレーション(矯正)を仕様に明示してください。
モジュール(タイル・カットサイズ)・目地幅(例:1〜2mm級精密、または現場許容)も図面と合わせておきます。大面積でモジュールが揺れると、パターン方向・対角の誤差が蓄積します。荷重・レベル・接着・乾式支持など施工方式は構造・内装と合意し、石材供給仕様と衝突しないようにします。給排水・電熱・埋設貫通が多いレセプションゾーンは、カットアウト許容幅・補強を図面に示しておかないと加工段階の手戻りが増えます。
4. ロット・予備材・ドライレイを仕様に入れる
ロビーのように広いと、同一商用名でも生産バッチが分かれると遠くからでもトーンが切れます。仕様に「同一採石・同一生産ロット(または承認範囲内のバンドル)」「全面ワイドショット・ドライレイ(乾式配置)承認後に切断」「予備材 10〜15%(破損・将来補修)」を入れるのが安全です。段階施工(1次ロビー→2次拡張)なら、予備と保管条件まで書いてください。
入荷時点の検収は別課題です。書類・ラベル・破損記録はスラブ納品・入荷チェックリストをご参照ください。工場出荷前のバンドル写真と、現場入荷後の検収の両方必要です。MarbleBest では面積・希望トーンをいただければロット単位の相談ができます。→ 製品 · お問い合わせ
5. ロビー仕様チェックリスト(コピーして使ってください)
発注・入札文書で以下をチェックしてください。
1. ゾーン図:床/入口/壁/レセプション/ホール区分
2. 品種商用名+承認サンプル・写真範囲
3. 仕上げ(ゾーン別)+滑り・湿気条件
4. 厚み・モジュール・目地・パターン方向
5. ロット・バンドル統一・ドライレイ承認
6. 予備材比率・保管
7. シーリング・清掃・マットなど維持責任
8. 納期・段階入荷・代替ロット承認手順
類似のホテル・レジデンスロビー参照は施工事例から、図面・面積・希望仕上げをいただければお問い合わせで見積・在庫相談を続けられます。
FAQ
Q. ロビー全体にポリッシュ大理石だけで大丈夫ですか?
A. 乾燥したメインホールではよく使われます。入口・外気・水気ゾーンはホン・テクスチャや耐摩耗ストーンに分ける方が、滑りと光沢摩耗に有利です。
Q. 床厚みはいくらと書けばよいですか?
A. 出発点として 18〜20mm が一般的ですが、石種・モジュール・工法・荷重で確定します。仕様に公差とキャリブレーションの有無も書いてください。
Q. 予備材はなぜ 10% 以上ですか?
A. 運搬・加工破損と、数年後の補修トーン合わせ用です。大面積・長期運用ロビーほど 15% に近づける現場があります。
Q. 大理石の代わりに花崗岩はどこに使いますか?
A. 入口バンド、キャリア動線、エレベーターホールなど、摩耗・湿気負担が大きい区間で役割を分ける構成が実務で多いです。
Q. 見積・相談に必要な資料は?
A. ゾーン別面積、図面またはスケッチ、希望品種・仕上げ、施工日程、承認サンプル写真があれば十分です。→ お問い合わせ
面積・ゾーン・仕上げだけでも、ロビー仕様・ロット相談は速くなります。お気軽にお問い合わせまでご連絡ください。